ロンハーマンの小売業界は、ECの充実に伴って消費者とメーカーがダイレクトにつながることが可能になった以上、その存在価値を自ら世に問うていかねばならない……。

「持ちもの」を基点に
振り向ける先を「ずらす」

 もちろん、各社、各業界で事情はさまざまですが、少なくとも「放っておいても一定の成長拡大が見通せる」ような状況にはなさそうです。ネット業界などの伸び盛りの産業や、金融や製薬といった安定顧客の多い大手のコンサルファームには敬遠されそうな業界、と言えるかもしれません。

 そういうクライアントと長くお付き合いできているのは何故なんだろうか。これまで自分がプレゼンテーションしてきた内容には、共通する「本質的な何か」があるのではないか。

 そこで思い当たったのが「顧客ずらし戦略」だったのです。

「顧客をずらす」とはどういうことか。

 簡単に言えば、それは「スキル等を含めた自社の本質的なアセット(資産)を見つめ直し、新たなビジネスを展開して、これまでとは異なる顧客をつかまえること」です。

 そう聞いただけでは、あまり特別なこととは感じられないかもしれません。ポイントは、「自社の本質的なアセット(資産)を見つめ直す」こと。つまり、あなたは「自分の持ちもの点検」をすればよく、「新たな何かを(無理に)得る」必要はないのです。

「自分がいま持っているもの」と「その価値」を明確につかむことさえできれば、それを使って何が(どんなビジネスが)できるか、誰を(どんな顧客を)惹きつけることができるかを考えだすことは、そう難しくはありません。

 同じ「持ちもの」を基点にして、振り向ける先をちょっと「ずらす」。それが「顧客ずらし戦略」の基本概念です。