人気のプロコーチ堀江信宏氏の初の著者『人生の悩みが消える自問力』(ダイヤモンド社)では、自分に「5つの質問」を投げかけ、自問自答を繰り返すことで、問題が解決したり、悩みが消えることを説いています。今回は最新刊『女性リーダー4.0 新時代のキャリア術』の著者、昭和女子大学総長・理事長の坂東眞理子さんと堀江さんの対談の3回目です。坂東さんのキャリアの中で印象に残る自問自答とは……。
堀江 「それから、リーダーの自問自答というところで、ぜひお聞きしてみたいんですけれど、リーダーは立場が上に行けば行くほど、相談できる人も少なくなってくるかと思います。坂東さんも、これまでのキャリアの中で自問自答して悩む日々があったと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか」
坂東 「そうですね。それでいうと、昭和女子大学の学長を引き受けるときは、私なりに自問自答しましたね。教授になったのが2004年で、学長になったのが2007年のことでした。ここへ来て三年ほど経ったところで学長にということを言われて、『大丈夫かな、できるかな、無理じゃないかな』という気持ちは強かったんです。でも、与えられたポジションで自分がいいと思うことをやればいいんだと。成功するかしないかはわからないけれども、大学を取り巻く環境がすごく変わって、特に、女子短大があまり志望者がいなくなるという状況だったので、何とかしなきゃいけないというのは明らかでした」
堀江 「そうだったんですね」
坂東 「大変だけど、やらなければいけないと。成功するかどうかわからないけれども、この教育機関が、それなりに存在意義を持つというのは大事なことではないかなと思ったんですね。『天下の秀才を集めて、これを教育するのは君子の三楽』で楽しいことなんですけれども、そういう大学ではなくても、普通の学生たちを少しでも元気づける。特に、女の子たちが自分の限界をわきまえすぎてチャレンジしない。『そこそこ』のほうが幸せになれるんだとか、自分を縛るマインドセットにとらわれている子がいるというのを、ここへ来て二、三年ぐらいで感じていたので。これを何とかしなければという気になっていたのです。それが、やるべきことじゃないかなと思って、学長につくことを承諾したんです」
堀江 「そうだったのですね。今、おっしゃった『成功するかどうかわからないけれど、でも、これは大事なことである』というのは、自問自答ですよね」