無論、その影響は、ベテランにも及んでいる。銀行といえば、50歳前後で子会社や取引先に出向し、銀行員としての“定年”を迎えるのが慣行だった。だが今後は、年齢の縛りを取り払う考えだ。

 実際、「今年、50代で初めて支店長に就任する行員に加え、5店目の支店長が同時に選出されるという象徴的な出来事が起きた」(藤原弘治・みずほ銀行頭取)。

 通常、支店長として赴任する店舗の数は多くても2~3店。4月の人事は、50歳前後での機械的な出向を廃止し、「専門性を持つ人には、65歳まで処遇と機会を与える」(佐藤社長)という目的意識が端的に表れた事例といえる。

年功序列破壊の副作用

 ただ、銀行も含め、日本社会全体に根付いた年功序列制度の破壊には、副作用を指摘する声もある。

 「年配の経営者が、自分の子ども、下手をしたら孫に近い年齢の支店長に対して、事業承継のようなデリケートな相談をするのか」(メガバンクの中小企業営業担当者)

 長幼の序を重んじる向きは取引先に根強い。14年に三菱東京UFJ銀行は、中小企業や個人事業主を対象に銀行の代理店業務を行う子会社を設立。銀行OBを起用したところ、「法人営業の経験が豊富なベテランが経営者にありがたがられている」(三菱東京UFJ銀行関係者)という。

 そうした営業の第一線に立つ支店長人事を手始めに大なたを振るった、みずほ銀行の人事運営改革。行員の憧れである支店長ポストの在り方を、大きく変容させつつあるといえよう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)