日本人の5人に1人が睡眠に問題を抱えているという。問題の第一は、熟睡感がないこと。眠りが浅くて、朝起きたときにぐっすり寝た感じがしないという不満を持つ人が多い。これは、「睡眠の質」が低下していることから起きる心身の不調感だ。
夜にまとめて眠るようになった人間の睡眠には、一定のパターンが存在する。健康な人が眠りにつくと、深い眠りである「ノンレム睡眠」が現れる。ノンレム睡眠では、脳の温度が下がり、心拍も遅くなり、主に脳が休んでいる状態となる。その後“体は眠っているのに脳は起きている”という「レム睡眠」に移行する。
そしてノンレム睡眠とレム睡眠のセットをおよそ90分ほどのサイクルで繰り返し、目覚めが近づくにつれてレム睡眠が多くなっていく。また、寝入りばなには、ノンレム睡眠の中でも最も眠りが深い「徐波睡眠」が現れる。この睡眠パターンが崩れたり、深い眠りである徐波睡眠が現れなかったりすると、「睡眠の質」を低下させることになる。
最近の研究では、アミノ酸「グリシン」が、「睡眠の質」と関連があることが分かってきた。グリシンはホタテなどの魚介類に多く含まれるアミノ酸で、人間の体内で作られる非必須アミノ酸の一つだ。睡眠に問題を抱える人に、就寝前にグリシンを摂取してもらったところ、朝の目覚めがよくなり、起床時の疲労感や日中の眠けが軽減。パソコンでの作業効率も向上した。睡眠中の脳波測定では、徐波睡眠に達するまでの時間が短縮し、睡眠パターンがより自然なものに近づくという結果が得られている。
このグリシンの効果に着目した健康食品も開発されている。味の素が発売する「グリナ」は、一回分でグリシンを3000ミリグラム含んでおり、睡眠に不満のある人たちに飲まれ始めているという。
(取材協力 味の素株式会社)