緊張感があるところに息を吹き込む
医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。イェール大学医学部精神神経科卒業。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。現在、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。趣味はトライアスロン。著書に『世界のエリートがやっている最高の休息法』『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』(ダイヤモンド社)がある。
パニックまでいかないにしても、ストレス反応はさまざまなかたちで身体に影響を及ぼします。肩こり、頭痛、腹痛、下痢など、ストレスで身体に不調が起きている人にオススメなのが、ブリージングスペースです。
まずはイスなどに座って、マインドフルネス呼吸法の基本姿勢をとりましょう。しばらく身体の感覚や呼吸に注意を向けて、脳がある程度マインドフルな状態になったら準備完了。ここから全部で3つのステップがあります。
まず、ストレスに輪郭を与えるのが第1のステップです。何かイヤなことが起きたとき、嫌いな人のことを考えたときに、自分の身体にどういう変化が起きるかに注意しましょう。
ストレスの原因を1つのセンテンス(文)にすることもオススメです。その文を心のなかでつぶやいたとき、胸のあたりがギュッとなる、脈拍が速くなる、顔がほてる、胃にキリキリした痛みを感じるなどはありませんか?
些細なことでいいので、ストレスというつかみどころのないものを、身体の変化という具体的なものに置き換えましょう。
次に、ベーシックなマインドフルネス呼吸法を行います。呼吸にラベリングをしながら、身体のこわばりに向かっている注意を呼吸に引き戻します。過去のイヤな記憶や将来の不安に占められていた意識が呼吸に集まってくるにつれて、身体の緊張がじわじわと緩んでいくのを味わってください。
最後がブリージングスペースの大事なところです。呼吸だけに向かっている注意を、身体全体に広げてみましょう。身体全体が呼吸しているようにイメージし、そこに注意を向けるようにするとうまくいきます。
息を吸うときに、第1のステップで違和感があった部分に空気を送り込むようにイメージするのもオススメです。そこに空気が通るたびに、こわばりがとれて柔らかくなっていく感じ、開けていく感じを堪能しましょう。