6月21日から29日に集中している今年の株主総会。東日本大震災が企業業績に与えた影響は小さくないだけに、会場となるホテルの宴会場もピリピリムードに包まれている。

 なかでも最も注目されるのが28日の東京電力だ。会場となるのが、ザ・プリンスパークタワー東京の地下2階のボールルーム。「収容人数など、株主総会関係のことはいっさい言えない。東電に聞いてください」と答えるホテルの広報担当の声からもそのピリピリ感は伝わってくる。

 ちなみに、東電の株主は今年3月末で74万6932人。昨年の東電の株主総会は4000席を用意したそうだが、長引く原発問題で、今年はこの席を超えるのは確実視される。

 ホテルにとってもう一つ悩ましいのが空調問題だ。節電協力を訴えている東電だけに、28度の温度設定と照明を暗くする計画を明らかにしている。業界関係者は「来場者が多いと28度では蒸し暑いだろう。東電の株主もホテルにとっては潜在客であり、サービスがよくないと思われるのをもっとも恐れているはずだ」とみる。

 同じプリンスホテルグループの会場でもう一つの注目される株主総会が28日のソニー。ホテル側はノーコメントを貫くが、例年どおり、グランドプリンスホテル新高輪で行われる。ソニー株はネット配信ゲームサービスの個人情報流出問題から、17日についに2000円を割り込んだ。ハッカー側も「つかまるまで続ける」と発言するなど、収束のめどがたっておらず、ロングラン総会になるとの予測が大半だ。

 もっとも、複数の関係者は「総会が大揉めに揉めても、ホテル側にはさほど問題がないはずだ」と言う。毎年、株主総会を行って手馴れているうえに、総会自体がいわば“大型宴会”。同じ部屋で後から宴会を入れることはしないのが普通だからだ。

 それでも不測の事態が起こらないように、裏方であるホテル側にも株主総会に向けて日に日に緊張感が高まっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

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