「そもそも」と「一言で言うと」を口癖にする
じつは「空気を読まない」「『そもそも』を語れる」「一言でまとめられる」というのは、マッキンゼーの人たちの特徴でもあります。
マッキンゼーの人たちは、「私はそうは思いません」「そもそもの話」「一言で言うと」と口癖のように言っています。
とくに彼らは、何かというと「私はそうは思いません」と言います。これは何も偏屈な人たちが集まっているというわけではなく、「自分と意見が違う際に反対・反論するのは義務である」という意識が共有されているからです。
反対するのは権利ではなく、義務。
これは単純に見えてなかなかシビアな原則です。相手の言うことに反対、反論するには相応の知識が必要ですし、相手を説得するための論理構築も不可欠です。本質的に物事を捉え、ロジックを持って反対するというのは、賛成するよりはるかに難しい。
しかしコンサルティングの現場で「社長、まさにその通りです」「おっしゃる通り」「私もそう感じます」なんて繰り返しても、何の価値も生みません。
だから、たとえ似たような考えであっても、細部では微妙に異なっていれば、あえてその違いを口にする勇気を持たなければなりません。空気を読まない勇気によって、初めて一人のビジネスパーソンとしての付加価値が生まれるのです。
さらに、マッキンゼーの人たちは、二言目には「そもそも何でこの作業が必要なの?」「それって、一言で言うと何?」という言葉を連発します。私自身、わかったつもりで話しているときに、そう言われて言葉に窮したことが幾度となくあります。つまりは「わかっていなかった」というわけです。
このフレーズで突っこまれるたびに新人時代の私は冷や汗をかき、なんとか自分の言葉でまとめようとして、その作業によって自分の思考や分析が深まっていくことを感じたものです。
(本原稿は、侍留啓介著『新独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』より抜粋・編集して掲載しています)