節電対策で冷房が弱められ、通勤途中でもオフィスでも猛暑が実感されるこの夏。「満員電車で半袖Yシャツを着た男性の腕の汗が気になる」という女性の意見も少なくない。となれば、普段は汗や臭いをさほど気にしないビジネスマンであっても、否が応でも「暑さ対策」の意識を高めざるをえなくなるだろう。

大王製紙が発売する、居酒屋のおしぼり感覚の汗拭きシート

 そんな人たちに向けて大王製紙は、ビジネスマン向けの汗拭きシートを発売する。その名も「エリエールfor MEN おしぼり感覚でゴシゴシふけるドデカシート」だ。

 真夏やスポーツ後に汗を拭くシートは女性にはお馴染みの商品。男性向けも10~20代の若者をターゲットにした商品は多数市場に出ている。除菌ウェットティッシュ最大手の大王製紙は、そのノウハウを生かして30代以上のおじさん向けの汗拭きシートにも参入すべく長く機会を伺っていた。

 というのも、年間約60億円の男性向け汗拭きシート市場は、マンダムの「ギャツビー」が60%以上、花王「メンズビオレ」と資生堂「UNO」が10%弱のシェアを持つ寡占状態。販売経路に関しても、エリエールが長年取引していたドラッグストアやコンビニエンスストアのバイヤーは雑貨担当であり、汗拭きシートは新たに化粧品担当になるため、参入障壁が高かったのだ。

 そんな折、東日本大震災による商品の売れ行きの変化が参入のきっかけとなった。紙おむつや生理用品はまとめ買いされ、長時間対応タイプが売れ筋に変わった。「生活者需要の変化を目の当たりにし、ビジネスマン向け汗拭きシートのニーズを確信した」(斎藤真・大王製紙ホーム&パーソナルケア事業部商品企画第一部部長代理)。夏の新商品計画が修正を迫られ、急遽プロジェクトチームが立ち上がった。

 開発のポイントは若者向け商品との差別化だ。「薄いシートをちまちま取り出して拭くのは面倒くさい」「コロンのように香りが強いのは気恥ずかしい」というおじさんビジネスマンの意見を商品に反映させた。

 そこで生まれたコンセプトが「居酒屋のおしぼり」だ。おしぼりを広げて両手でゴシゴシと拭く爽快な感覚をイメージし、顔も首筋も腕も1枚で拭ける大きく厚手のシートに仕立て上げた。30cm×30cmの大きさは他社製品に比べて圧倒的に大きい。

 また、清涼感をもたらすエタノールとメントールは、刺激が強すぎないよう適度に抑え配合。パッケージもあえて洒落たデザインを避け、「仕事中のリフレッシュ」を謳い文句に、アラフォーのおじさん世代にも、抵抗感がないような商品に仕上げた。

 懸念していた販売面でも、「ありそうで無かったビジネスマン向け汗拭きシート市場を掘り起こせる」と各社バイヤーから大注目され、採用数は当初予定の2.5倍にまで伸びているという。

 この夏を乗り切るため、おじさんビジネスマンの新習慣に定着するだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)