『ひきこもりゼロの社会はつくれる』

 タイトルのキャッチとはいえ、そう言いきるCDを6月24日に発売し、話題になっているのが、当連載の第62回でも紹介したIT系企業「㈱アイエスエフネット」(東京都港区赤坂)の渡邉幸義社長だ。

履歴書を見ずに社員を採用
実はその中に元「引きこもり」がいた!

 CDは、3部構成。第1部では、渡邉社長が自らの実践を基に、「引きこもり就労」の難しさを語る。

 同社は、スマートフォンなどのソフトの新しい技術を担う。新しい雇用が生まれるとの渡邉社長による当初からの読み通り、従業員は2000年に設立時の4人から、現在は2000人にまで増えた。

 しかし、エンジニアを育てていかなければいけないという事情から、渡邉社長は「未来における自分のヤル気にコミットしてくれる」人材を求めた。そのため履歴書が、あまり意味のあるものではなくなって、履歴書を見ないで採用するようになったという。

 そんな渡邉社長がある日、社員たちと車座で話をして、驚いた。

「君は以前、何やってたんだ?」と聞くと、「実は、僕はずっと働いていませんでした」「僕は発達障害を持っているんです」などと明かす社員たちがいた。そうして話していくうち、意外なことに同社社員の約3割は、一見、就業の非常に難しい人たちで構成されていたというのである。

「なんだ、そうか!」

 渡邉社長は、CDでこう語る。

<こういう方々も立派に働ける。僕らは入口のところで、この人たちは、きっとやれっこないと(決めつけていたのではないか)…>