現在、ウッズは41歳で年齢的限界説もあるが、40代で優勝争いする選手もたくさんおり、ウッズが本来の実力を出せば活躍はできるはずだ。米ゴルフ専門誌の取材によれば、ウッズは完全に自信を喪失しているという。技術の問題ではなく、精神的に戦える状態ではないのだ。

 日本では青木功、尾崎将司とともにAONと呼ばれ、一時代を築いた名選手、中嶋常幸(62)も大きなスランプを経験している。1980年代から90年代にかけては日本男子ツアーのメジャー大会を11度も制したが、1996年から2001年までの6年間は優勝争いどころか、上位進出もなかなかできない不振に陥った。結果がついてこないことで考え込み、スイングの改造などを試みては失敗。それでますます自信を失うという悪循環。プロゴルファーの世界では、こうしたスランプは誰もが経験するという。

 プロゴルフは他のプロスポーツとは異なる特性がある。たとえばプロ野球やプロサッカー。最近では長く現役を続ける選手もいるものの、20代、30代の選手で占められる。技と勢いを併せ持つ選手同士が戦うわけだ。そして年齢的限界がくると現役を去る。が、プロゴルフは40代以上でも老練の技で勝負できるから現役を続けるし、勢いのある若手も入ってくる。ライバルが大勢いるわけだ。

 その厳しい勝負で生き残るには、強みとなる武器を磨き、高いモチベーションで試合に挑み続けるメンタルの強さが必要になる。だが、これまで述べたように、ちょっとした感覚の狂いで本来の実力が出せなくなることも多い。プロゴルファーは一打一打を決しておろそかにせず、着実にスコアメイクする考え方が身についており、一度スランプに陥ると深く考え込んでしまう。そのため出口の見えない不振が続く。厳しい世界なのだ。

 宮里はこの4年間、不振を乗り越えるため、必死で練習し、モチベーションを高めようとしたに違いない。しかし、理想に近いゴルフを手にしたことがある分、ギャップを埋めるのは難しく、モチベーションが湧きあがってこなかったのかもしれない。

 会見では、今季限りという期限を切ることによってモチベーションを取り戻したいというニュアンスのコメントがあった。気持ちがついてくれば技術はあるのだから、残された試合で有終の美を飾る可能性は高いのではないだろうか。

(スポーツライター 相沢光一)