厚労省幹部は今回の法律改正について、喫煙の権利や営業の自由に配慮して、「たばこをやめてくれというのではなく、たばこの煙から国民を守るため」と言う。厚労省は現行でも、たばこを吸いたい人のための喫煙室の設置に関する支援策を用意している(※2)

 どうして、自民党案の店内分煙はダメなのだろうか?

 産業医科大学の大和浩教授(産業生態科学研究所)による「公共の場所の空気の質を測定する実験」では、分煙による禁煙室でも、かなりの濃度と頻度の有害物質にさらされていることを証明している(図1)。詳しく紹介しよう。

【図1】居酒屋での不完全な分煙は意味がない

※1 平成27年国民健康・栄養調査
※2 喫煙室設置費用の一部助成

大気汚染より
深刻な飲食店の喫煙室

 大和教授は、1996年から受動喫煙に関する、さまざまな実験研究を繰り返してきた。主に喫煙室や禁煙室を取り巻く空気中の有害物質の濃度を測定している。

 実験は、役所などの職場・新幹線・飲食店(喫茶店やファミリーレストラン、居酒屋など)・駅構内などで実施された。喫煙室に喫煙者が集中する時間帯に、室内だけでなく室外も含めて測定器を複数台設置して、20~45分程度の間(5~15秒ごとに)、大気中のPM2.5(粒子状物質)濃度を計測した