喫煙者が禁煙を決意するとき、それは人生の大転機です。
喫煙者が覚醒している時間のうち、喫煙に費やす時間はかなりのものです。喫煙に使っていた時間を、さて今度は何に使えばいいのか――。この問題が禁煙成功まで重くのしかかってきます。
一般的に、禁煙は自分の決意が重要だと言われています。確かに、決意のないところに行動は起こりません。禁煙成功に至るまでの決意がもっとも重要な点であることに疑いようがありません。しかし、喫煙に変わる「良いもの」がみつからない限り、再び喫煙を初めてしまう可能性が大きいことも事実です。
まずは禁煙宣言書から
家族連名で作成すること
まず、禁煙外来の手順について説明しましょう。
喫煙はいわゆる「ニコチン依存症」という一人前の病気として扱われます。初回の診察では、まず禁煙宣言を行います。書面で何月何日から始めると署名し、家族や友人に連名で作成されます。この宣言によって、家族や友人を裏切れない状況に自分が置かれているということを意識してもらい、決意を固めてもらいます。
通院は最初の受診から2週間、その後は1ヶ月ごとの頻度となります。診察では呼気中の一酸化炭素濃度測定が行われます。実はこの測定は、「嘘発見機」の役割も果たします。
たばこの煙の中に一酸化炭素が含まれるので、患者さんは慢性の一酸化炭素中毒になっています。一酸化炭素の濃度は息を機械に通すだけで測定でき、ヘビースモーカーほど濃度が高くなります。喫煙していれば測定値に現れるため、嘘をついても、簡単に見破ることができます。
内科学の教科書ハリソン18版395章には、禁煙成功のためには「禁煙の宣言」と「医師からのカウンセリング」の2つが重要であると記されています。日本では「禁煙治療のための標準手順書第4版」として、ウェブ上にて手順書を入手できますので参考になります。