初めての会合が荒れに荒れ、「なんで皆、こんなにやる気がないんだ」「誰のためのプロジェクトだと思ってるんだ」と打ちひしがれていた。

 しかも、土産菓子市場は飽和状態、真っ赤っ赤の「レッドオーシャン」だ。ヒトモノカネ、すべて足りない状態で、どうやって全国に通用する菓子を開発すればよいのか、思い悩む日々だった。

 転機は、思わぬところからやってきた。お遍路を回るうちに、「これだけやっているのに、どうして動いてくれないんだ」と憤っている自分の姿に気づいたのだ。しかも、相当にふてくされている。

 そして、目が覚めた。「変わらなければいけないのは、自分だ」「心に火をつけるのは、まず自分からだ」。

 一人ひとりの置かれた立場に思いをはせ、人知れず頑張っている姿を思うと、自然にありがたいと感謝の気持ちが湧いてきた。不思議なことに、それ以降、プロジェクトが前向きに動き始めたのである。

「心に火がつく」実感がつかめれば、何が起きても乗り越えられる

 自分の心に火をつけることこそが、人の心に火をつける着火剤だった。自分が燃えていれば、味方が出来、いつしか応援団も増えてくる。

「心に火をつける」ことができれば、何があっても大丈夫。プロジェクトを通して得た、最大の学びだ。

 そのことを、「実感」としてつかむことができたなら、これから何が起きようとも、乗り越えていけるだろう。

 私は一年かけて、このことを悟った。プロジェクトに参加して本当によかったと、今しみじみ思っている。

 いよいよ明日、7月12日は、「大結願」の発売日だ。記者会見での皆の晴れ姿を楽しみにしている。
 


 長らく連載におつきあいいただき、本当にありがとうございました。ご意見、ご感想がございましたら、shigenori.sasaki@gmail.com まで。いよいよ発売の「大結願」HPも是非、ご覧ください。