もめにもめた初会合惨敗の試食会を経て、ついに創作和菓子「大結願」が完成した。ネーミング、パッケージなども決まり、アドバイザーとしての私の仕事は一段落。あとは7月12日の発売日を待つばかり……のはずだった。

 5月の連休明けのこと、さぬき市のクライアントを訪れた後、菓子事業者と商工会のミーティングがあると聞き、「せっかくならば」とふらっと顔を出した。すると、十河会長の怒鳴り声が聞こえた。

「こんなに原価が高かったら、利益が出るはずないじゃないか! いったい何をやってるんだ!」

 商工会の永峰指導員は私の姿を見て、渡りに船とばかり意見を求めてきた。正直、当事者同士で解決すべき問題だと思ったが、どうもそれでは済まなそうだった。

 包装紙、箱、説明書きの小冊子など、それぞれのパーツは立派なものに仕上がっていたのだが、コストを積み上げると、どう見ても利益が出ない状態になっていた。ここにきて、あまりにも初歩的な「ドンブリ勘定」が露呈したのだった。

 よくよく聞いてみると、全体を見て原価計算をしている人がいなかったのである。

誰が責任を持って仕切るのか

 商工会主導の町おこしなのだから、本来は商工会が全体を見て采配すべきだろう。しかし、今回は国の補助金事業ということで、3月末に中小企業庁に事業報告書を提出して終わり、という意識があったと思われる。

 また、昔のお役所にありがちだが、相見積もりを取り、質と価格を吟味するといった、競争原理を働かせながらコストを下げる努力をした形跡がなかった。

 一方、菓子事業者たちは自分の店で商売が完結しており、土産物屋などに卸した経験がなかった。そのため、販売マージンや営業・配送費用などの運営経費を計算に入れずにパッケージ類の製作を進めていたのである。