試行錯誤の内幕をセキララに紹介した「さぬき市のドタバタ町おこし」も、いよいよ最終回。創作和菓子「大結願」の発売を明日に控え、これまでの軌跡を振り返る。

「東京試食会、やってよかった。やっぱり完売すると、うれしいっすねえ」

 6月28日、有楽町の東京交通会館で行った試食会では、会社帰りのビジネスパーソンにたくさんお越しいただき、味の感想をいただいた上、先行販売用に持ってきた50箱が完売した。

 菓子職人の高橋氏は、ほぼ徹夜で試食品を作っていただけに疲れは隠せなかったが、満足そうな笑みを浮かべていた。一日中、お遍路姿で来場客をもてなした永峰指導員も同様だ。

 後片付け終了後、祝杯をあげた。そして帰り際、固い握手を交わした。

「心配せんといてください。大結願は、俺らが責任を持って育てますから」

 言葉こそ交わさなかったが、そんな想いが伝わってきた。これまでの苦労がすべて吹き飛んだ気がした。

 翌日、さぬきに戻った長峰指導員から、メールが届いた。その文面には、嬉しさがにじみ出ていた。

「JRと高松空港から、話が聞きたいとの連絡が入りました。それと、発売日の記者会見には、主要全国紙、地元紙と複数のテレビ局が来てくれそうです」

 自信と喜びに満ちた二人の姿を見て、昨年の今頃のことを思い出した。