「さぬき町おこしプロジェクト」は、さぬき市商工会十河孝男会長の強い危機感から始まった。そこには、不満が出ようが泥まみれになろうが、自分たちの手で商品開発に取り組み、全国で戦える力をつけてほしいという、強い願いがあった。(聞き手 佐々木繁範)
業績ジリ貧。市場は先細り。このままでは希望が持てないと思った
――まず、このプロジェクトを始めた背景をお聞かせください。
さぬき市には約30の菓子事業者があるが、業績は芳しくない。過去3年で売上を数十パーセント下げたところもあるぐらいだ。他の業種も似たり寄ったりで、人口減少の中、地元市場だけに頼っていては、先細りは必至だ。
引退が近い親父の代はさておき、このままでは、後を継ぐ息子の代は将来に希望が持てない。全国市場に出て行く力をつけなければならないと、強く感じていた。
幸い、さぬき市には、四国霊場八十八箇所の上がり三ヵ寺があり、年間30万人のお遍路さんが訪れる。この地域資源を活かした土産菓子で全国展開に挑戦し、そこでノウハウを蓄えれば、他の業種にも応用できると考えた。
――プロジェクトに取り組む上で、心がけた点は?
町おこしにありがちな、専門家に考えてもらって成果物を受け取る、形だけのプロジェクトにはしたくなかった。
我々に必要なのは、新しいモノを生み出す力。商品開発力だ。安易に専門家に答えを求めるのではなく、汗をかき、徹底的に自分たちで考え抜くことにこだわった。