日韓関係の基本姿勢は
過去と将来とは切り分け進める
韓国の文在寅大統領は、6月10日で大統領就任1ヵ月を迎える。韓国の世論調査によると、文大統領に対する肯定的な評価は8割台の後半で、歴代の大統領より高いと言われている。私も、滑り出しは順調だったと思うが、それを額面通りに受け止めていいのか、今回はこれまで1ヵ月間の業績について、私なりの所見を述べたい。
ただ、その前に私の新書「韓国人に生まれなくてよかった なぜ今文在寅なのか!開いた口がふさがらない!」(悟空出版)について一言。この本に対しては、刺激的な題名ゆえ、韓国のメディアから「身の毛がよだつ」などと猛烈に批判されているが、今年2月にこのコーナーに寄稿した原稿(2017年2月14日付け「『韓国人に生まれなくて良かった』元駐韓大使が心底思う理由」)が元になっている。
その際は、韓国人にとって努力しても報われない社会を解説し、韓国人の苦悩を日本人に知ってほしいとの思いであった。そのため、「韓国では題名は気に食わないが実態はその通りであり、受け入れざるを得ない」との反応が多かった。
ただ著書では、熱烈に支持される文政権の本質を論じ、果たしてうまくいくのかと疑問を呈したため、韓国人にはとても受け入れられないのであろう。私が論じたことが現実とならず、韓国がうまくいくことを祈っているが、文政権の本質を見ると、順調な滑り出しを見せた今でもそうならないのではないかと懸念している。
それでは、文政権のこの1ヵ月間を振り返ってみよう。