今回のG7会議は予想通りの荒れ模様となり、米国と欧州諸国との対立が浮き彫りになる結果になった。その背景には、米トランプ大統領が掲げる露骨な「自国優先主義」に加えて、国際会議初デビューで見せた振る舞いが、傲慢さをより印象づけることになった。サミット直前に開かれたNATO諸国の首脳会議で、参加国の首脳が揃って歩いている場面でトランプ氏が他の首脳を手で押やって前に進み出る姿は、多くの人から顰蹙を買った。
その姿勢からは主要国との協調性をほとんど感じることができない。世界経済に不測の事態が発生した場合、主要国が足並みを揃えて対応することができるのか。疑問と不安を抱かせた。
「ブラックマンデー」前を彷彿させる
米と欧州の足並みの乱れ
G7の首脳会議では、中でも米国とドイツとの対立が明確になった。米・独間の軋轢は、今から30年前の出来事を思い出させる。
1987年10月19日、ニューヨークでの株価急落を受けて、世界的に株価が大きく下げた。世にいう「ブラックマンデー」だ。
当時、ニューヨークダウ平均株価は約2200ドルだったが、19日一日だけで508ドル、20%を超える下落となった。
東京市場の株価もそれに引っ張られる格好で、約2万6000円だった日経平均株価は約3800円下げた。まさに“暗黒の月曜日”と称されるにふさわしい、大変な金融市場の混乱になった。この引き金となったのが、米と独(西独)との政策協調の乱れだった。