◆図表1:中期財政収支見通し(内閣府17年1月)

 しかしこの新目標が、「マジック」であることは、少々の専門知識を持つエコノミストならみんな承知だ。

 内閣府の試算では、今後の名目経済成長率をおよそあり得ないほど高めに見積もっている。たとえば2020年の名目成長率は3.8%(!)となっている。

 一方で金利の方は、日銀の「マイナス金利」に象徴される低利政策が続く前提(2019年1.5%、2020年2.6%)である。この前提の下では、経済成長とともに税収は大幅に伸びることになる。税収弾性値が1としたら、税収は、例えば2020年は3.8%、つまり経済成長分だけ伸びるのである。

 国の借金返済には、国債の償還(債務返済)と利払い費の2つがある。国債利払い費は、ゼロ金利の下ではほとんど発生しないので、借金の返済は国債の償還費だけで済むことになる。一方で税収は伸びるので、国債の新規発行は少なくてすみ、分子である債務残高の伸びは抑制される。

 一方、GDPは金利に比べて大きく伸びるので、分母は拡大する。したがって、歳出削減を無理やり進めなくても、債務残高GDP比は下がっていくのである。逆に言えば、歳出削減圧力が減ることになる。