今から、家を買うには将来、損しないかどうかまで、計算してから買ったほうが安心です。その計算が簡単にできるツールが付録でついている『家を買って得する人、損する人』が発売されました。
ほかにも住宅購入の損しないポイント、築年数ごとのねらい目物件の選び方、将来破産しないための資金計画、住宅ローンの選び方ノウハウ、損しない物件を紹介してもらうための不動産業者との付き合い方まで……家を買うときに、役立つ情報が満載。この連載では、本から一部を抜粋、再構成してご紹介します。
住宅の価値を落とさないために
一番重視したいのは「利便性」
現在、日本は世界でもトップクラスの少子高齢化の国だと前述しました。実は、人口減少と不動産の価値には一定の相関性があります。人口が減少している地域は、地価水準も同様に下落する傾向にあるのです。
本格的な人口減少時代に突入しつつある日本社会において、今後、住宅の価値は「利便性に優れる立地条件」が最も優先されることは間違いありません。街の中心から遠く離れたところでは住宅の価値は低減します。また将来的には、「高齢者」といえる年齢になっても一定期間働き続ける必要が生じ、働き続けるためにもやはり利便性が大切です。
これまでは、なるべく価格が安く、かつ、間取りが広い住宅を求めて、郊外へ郊外へと探す範囲を広げ、利便性をある程度犠牲にすることはやむを得ないものとして住宅の購入を決めていたと思います。
このように言う私自身も、不動産会社で住宅の販売に従事し始めた20年前の頃には、住宅を購入するお客様に対して、こう進言したものです。 「この住宅は、お子さんの部屋を確保するための間取りの広さや、緑も多い周辺環境ですので、とてもお勧めできます。ただ、駅から遠くなることだけが欠点です。100%満足を感じていただける住宅ではありませんが、この点だけご辛抱願えないでしょうか」
住宅がどんどん値上がりしていた頃は、住宅ローン金利も今の何倍もの利率でしたから、金利が高い分、月々の支払額やローンの総支払額も高額となりました。 そのような状況で、マイホームの夢をかなえるためには、利便性という大事な要素を犠牲にしてもらうしかなかったのです。 しかし、今後においては、利便性に優れる立地条件がますます重要なものとなります。利便性という条件を犠牲にすると「住宅の資産性」を大いに損なうからです。