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市場機能は豊洲に移すが、築地は再開発するという、豊洲、築地両立の曖昧な方針を打ち出した小池百合子東京都知事。賛成、反対両者の言い分を汲み取りたかったのだろうが、逆に両者の支持を失う事態へと陥っている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

 築地市場の移転賛成派と反対派とが、今回ばかりは意気投合した──。

 6月20日、東京都の小池百合子知事が、築地市場の移転問題に関する緊急記者会見を開き、築地市場を豊洲に移転させた上で築地を再開発し、いずれ何らかの市場機能を持つ「食のテーマパーク」にすると発表、時期やコストはこれから検討すると述べた。

 老朽化した築地からの移転については、賛成・反対をめぐって、築地の卸や仲卸業者のみならず、政治家や、構造や土壌汚染の専門家など、市場の内外で意見の対立が続いてきた。

 今回、小池知事がぶち上げたプランは、まさに両方の意見の“いいとこどり”。だが、その実態は、「玉虫色の逃げ切り策」といわれても仕方ないものだった。

 そうした決定を受け、バトルを繰り広げていた賛成派と反対派が、意見を一にしたというのだ。

 まず、小池知事が掲げた「3つの基本方針」を見ていこう。