アベノミクスへの対抗軸が、民進党から打ち出された。「生活者の不安に向き合う財政政策」を掲げ、分配重視、成長に依存しない経済へと軸足を変える、という。
民進党の前原誠司氏は16日、日本記者クラブで会見し、会長を務める「民進党尊厳ある生活保障総合調査会」の中間報告を発表した。
生活者を不安から解き放つため、必要な財源は増税によって確保する、という政策だ。
自民党政権が目指す「財政再建のための増税」と狙いは違い「行政サービスを厚くする負担増」に照準を当てている。
国政選挙になると、消費増税に「賛成か反対か」が問われがちだ。自民党は前回の総選挙・参議院選挙で「消費税増税先送り」を掲げ、民主党はじめ野党はこぞって「先送り」に異を唱えず、経済運営の対立軸はボケたまま選挙戦が展開された。
政党が「増税」を掲げることは、いまや「自爆行為」とされている。それなのに民進党は「中間報告」で、「大増税」を掲げて政権を目指すという奇策に出る。
秋までに具体的な政策メニュー
新たな政治勢力結集の旗にも?
前原氏は「安心できる社会の実現には、この道以外にはない」と語る。
同調査会は「中間報告」に、さらに具体的な政策を肉付けして、秋までに基本政策としてまとめる、という。医療・介護、生活保護、大学授業料、就学前教育など行政サービスが目指す水準と、それを支える財源を明示することになる。増税は不可避で、消費税増税に踏み込むことになる。かなり思い切った政策メニューが示されるだろう。