もはや後退しようがないところまで落ち込んだ民進党だから採用できる究極の選択かもしれない。しかし民進党は、この政策のもとに党をまとめることができるのだろうか。

 政界に再編の臭いが漂う現状を重ね合わせると、提示された政策理念は、新たな政治勢力を結集する旗になるのかもしれない。

「中間報告」のうたい文句は、「ALL for ALL」(みんながみんなのために)。あらゆる生活者を不安から解き放つ、と副題がついている。

 世界では緊縮財政とディスインフレが進み、中間層が没落し、ポピュリズムや極右化が起きている。自国優先主義が台頭し、その一方で新自由主義の退潮が顕著だ。

 日本は、世帯収入300万円以下が全世帯の34%になった。格差放置社会ともいえる現状は、成長と自己責任を前提とした経済政策の矛盾から生じている、と中間報告を指摘する。

 日本は貯蓄で将来の不安に備える社会だ。所得の一部を貯蓄し、子ども供の進学、住宅の確保、病気や老後の介護、すべてを賄う覚悟が必要だ。自己責任の人生には貯蓄が欠かせない。

貯蓄が前提の経済モデル崩壊
経済成長に依存しない政策へ

 ところが今の日本は「貯蓄ゼロ」の世帯が36.8%にのぼる。単身世帯では48.1%に達した。1997年をピークに実質賃金は下降に転じ、生活者は収入の一部を貯蓄に振り向ける余裕がなくなっている。

 経済成長で所得を伸ばし、誰もが貯蓄することで人生の局面に生ずる出費に備える、という経済モデルだった。

 成長が鈍化して貯蓄に回るカネがなくなり自己責任を全うできない。子育て不安、過重な教育費負担、少子化、介護難民、ホームレス、下層老人などを増やしている。