突然会議で「アイデアを出せ」と言われても、良い意見は出ない。優秀なファシリテーターがいても、参加者のプレゼン能力を鍛えても、そもそもインプットが足りなければ会議の質は決して向上しない。では、効率よく生産性の高い会議や打ち合わせを行うにはどうすればいいのか? ベストセラー『職場の問題地図』の人気業務改善士が、生産性向上のヒントを伝授。新刊『チームの生産性をあげる。』から一部を紹介。
インプットを与えているか?
成果を出すには事前のインプットが8割
意見が出ない、アイデアが出ない打ち合わせの大きな原因の1つに、「参加者にインプットを与えていない」ことがあります。
想像してみてください。あなたはいまこの瞬間、突然会議室に呼ばれて上司から「意見を出せ」と言われた。そんなことを突然言われても、良い意見なんて出せるわけがありません。表面的な答えでとりつくろうのが精一杯。
あるいは、1時間の時間厳守で「アイデア出し」をするよう上司からいきなり命じられた。1時間で絶対終えろと言われても、事前に目的も議題も知らされず、突然呼びつけられてもメンバー一同「ぽかん」となってしまう。「君たちは意見がないのか!」とイラつく上司。言いがかりもいいところです。
どんなに優秀なファシリテーターをそろえても、あるいは参加者のプレゼンテーションスキルを鍛えても、これでは打ち合わせや会議の質は向上しません(なのにファシリテーションスキルやプレゼンテーションスキルだけを鍛えて、会議の効率をあげようとする会社の多いこと……)。なぜなら、インプットが与えられていないから。
題材、考えるためのネタ、参考情報……優秀なリーダーはアイデア出しや検討会の会議を行う前に、必ず参加者にインプットを提供しています。
・事前に資料を送付しておく
・参考記事を送り、読んでおいてもらう
・会議のフォーマットを送り、当日何が行われるかをイメージさせる
・当日、テーマに精通した専門家を呼んで講話をしてもらう
これだけで、当日の会議の質が変わってきます。より良い意見やアイデア、すなわちアウトプットが出るようになります。会議は設計8割、当日2割。ファシリテーションやプレゼンテーションが生きるのは、残念ながら当日の2割の部分でしかありません。事前の設計、良質なインプットの提供がカギです!
以下に、よくある会議テーマごとのインプットの例をまとめました。ご自身の会議設計の参考にしてみてください。
●次年度の部門予算案を決める会議
【インプットの例】:全社の予算計画と実績、前年度の予算案、他部署の予算計画情報
●業務改善検討の会議
【インプットの例】:現状を示す資料、改善フレームワークの事例や解説、改善事例
●働き方改革の方策検討会議
【インプットの例】:他社の働き方改革事例記事、働き方改革を実施している部署の声
●新企画のアイデア出し
【インプットの例】:市場動向の調査レポート、自社の目指す方向性が分かる資料、業界内外の新企画の記事、「そもそも企画とは何か」を解説した書籍
(この原稿は書籍『チームの生産性をあげる。――業務改善士が教える68の具体策』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)