システム担当者が社内で「孤立」するリアルな過程

「専門的なことは、システム部が考えてくださいよ」

「赤羽さんの話は難しいなあ。セッションとかクッキーとか、ＩＴ 素人の僕にはサッパリだよ」
「いえ、ですから根岸課長。物流の方にそこまで理解をしていただく必要はないんです。とにかく、配達員がタブレット操作中に通信が途切れたとき、最初の画面から入力をやり直していただけるか、それとも途切れた画面からそのまま続けられる形か、どちらが良いかということで」

「そんなの、途中から続けられるほうが良いに決まってるじゃない。画面が突然最初に戻っちゃったら、配達員はみんな混乱しちゃうよ」
「ただ、それだと入力情報をその都度バックアップしますので、全体の処理が重くなる危険もあるんですよ」

「そんなの困るよ！ なんとかしてよ」
「ええ、その辺はセッションで情報を維持して、いちいちバックアップせずにすむようにできないかなど、検討しております。ただ、検討するためには実際の使用者の意見が欠かせないんです」

「いやいや、もういいですよ。そんな難しい話されてもこっちはわからないんだから」
「いや、これは決して難しい話じゃなくて……」

「いいですって。その辺はお任せします。そっちでなんとか考えてくださいよ。システムは赤羽さんのほうがずっと詳しいんだから」