見方を変えると、マス・マーケティングでは新規顧客の数を増やすことを目指し、One to Oneでは一人の顧客の購買頻度と購買額を引き上げることを目指しています。どちらも最終目的は売上と利益の拡大ですが、アプローチ方法は大きく違います。
マクドナルドが、ここまで
貪欲に日本人の胃袋を満たそうとする理由は
マクドナルドがテレビCMなどのマス・マーケティングを一切やめるということは現実的にはないでしょうが、徐々にOne to Oneマーケティングの比重を高めていくことが予想されます。なぜなら日本はこれから本格的な人口減少時代が到来し、新規顧客の獲得には自ずと限界が出てくるからです。そこで、今までマス・マーケティングで増やしてきた顧客一人ひとりの購買頻度と購買額をもっと上げていこうと考えるのは自然な流れです。
貪欲に日本人の胃袋を自社商品で満たそうとするマクドナルド。マクドナルドをそこまでかき立てているものは何なのでしょうか。そのヒントは同社の会社名、「日本マクドナルドホールディングス」に隠されています。他の外食産業、たとえば牛丼チェーン、回転ずし、ラーメン店などは海外進出という道があり、実際にアジアを中心に海外展開に力を入れている企業もあります。しかし、マクドナルドは各国にそれぞれの会社があるため、日本マクドナルドは日本で活動するしかありません。だからこそ、人、モノ、カネ、情報といった経営資源を国内事業に集中投下し、さまざまな戦略で日本人の外食ニーズを取り込もうとしているのです。
また、この動きで注目すべきはマクドナルドだけにとどまりません。何百万人単位の顧客の属性や購買履歴のデータを蓄積している小売業、サービス業は他にも多数も存在します。いずれこれらの会社の中から、One to Oneマーケティングを本格的に導入していく会社も出てくるでしょう。今回、マクドナルドと組んだNTTドコモにとって、それは大きなビジネスチャンスになるはずです。NTTドコモが今回の経験を活かせば、従来の広告代理店やマーケティング会社が担っていた役割を代替していくことになるかもしれません。