出生率が低迷し、子ども関連市場が縮小する。その中でもシェアを拡大しているのが、米玩具チェーン大手、トイザラスだ。業績低迷に悩んだ2005年に投資グループが買収。その後トイザラスはベビー用品総合専門店「ベビーザラス」と玩具・子ども用品総合専門店「トイザラス」を併設する店舗展開で、顧客獲得に成功。eコマース事業の拡大で、次世代モデルの確立を急ぐ。消費者にインターネットを介した購買が拡がる中、将来の小売像をどう描くのか──。聞き手/千田直哉(チェーンストアエイジ)

縮小市場でシェアを拡大 

トイザラス・インク(米国)会長兼最高経営責任者(CEO) ジェラルド・ストーチ
ハーバード大学法学博士号、経営学修士(MBA)取得。米マッキンゼー&カンパニー パートナーとして小売業界、金融業界を担当。1993年、米ターゲット社に戦略担当上級副社長として入社、その後、副会長に就任。同社では12年間にわたり事業戦略、サプライ・チェーン、オンライン事業、テクノロジー・サービス、金融サービス、顧客関係管理、市場調査、買収案件など幅広い事業を手掛けたほか、食品売場を導入した新業態「スーパー・ターゲット」を成功させた。2006年2月よりトイザラス・インク会長兼CEO。

──まず初めに、米国市場の現状について教えてください。2008年9月の「リーマンショック」以降の米国内の経済状況をどう見ていますか。

ストーチ 米国内の景気動向は、過去から比べればずっと回復してきています。現在は、リーマンショックからゆっくりと上昇してきた米国経済が、横ばいで推移している状況です。米国の景気が完全に回復するまでには、まだ数年かかるというのが、多くの米国のCEOの見解のようです。

──小売業界の状況はどうですか?

ストーチ 総じて改善傾向にありますが、厳しい環境であることは変わりません。

 ただ、こうした環境にも関わらず、当社の業績は順調に推移しています。12月の1カ月間について言えば、トイザラスは大規模小売業の中で唯一、5年間にわたって売上高の前年実績を上回り続けています。

 米国の大人たちは、子どもたちへのクリスマスプレゼントの予算までは削りたくないと考えているようです。