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「痛みが和らぐお産」として、無痛分娩を選ぶ妊婦が増える一方で、医療事故の報道が相次いでいる。欧米では広く普及している無痛分娩だが、日本の無痛分娩は欧米に比べ大きな違いがあり、リスクも高いという。その理由について、かつて陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害の再発防止に向けた市民運動に取り組む勝村久司氏が報告する。

「無痛分娩を希望する妊婦が増えている」と言われる中、無痛分娩による重篤な事故が相次いで報道されています。

 どのような分娩を選択すべきか否かを考える際に、一般的の次の二つが事実として信じられています。

 (1)「日本の妊産婦死亡率や早期新生児死亡率は世界的にも低いから安全なはず」

 (2)「アメリカでは無痛分娩はかなり普及しており、日本でももっと選択されるべき」

 しかし、これらの言説は、日本と欧米とで根本的に異なる背景があるために、事実とは言い切れないのです。

「死亡率」だけでは
安全性はわからない

 最近、無痛分娩の事故として大きく報道されたのは、6月20日付けの読売新聞や6月29日付けの神戸新聞でもまとめられている、京阪神の四つの医療機関で起こった6件の事故でした。

 京都では同じ医療機関で硬膜外麻酔の事故が3件発覚し、1件は子どもが寝たきりのまま3歳で死亡、あとの2件は、母子ともに寝たきりの植物状態であると報道されました。