債券は、多くの場合金利が年率○.○%と決まっていることもあり、一見、親しみやすい投資対象だ。最近では、金利全般が低いなかで少しでも有利な金利を求める投資家を目当てに、事業会社の社債、外国政府の国債、銀行の劣後債などの円建て債券が、個人投資家に向けて販売されており、なかなかの人気になっている。債券は慎重なマネー初心者に適した投資対象のように思えるかもしれないが、どうなのか。
筆者は、国債以外の債券を、個人投資家が適切に評価し、資金運用の対象とすることはかなり難しいと考えている。率直にいって、一般の債券は、現状ではマネー初心者には難しいし、上級者はわかっているがゆえに手を出さないはずで、個人投資家全般にとって不適当な投資対象だ。
債券について知るべき基礎知識は、①金利と債券価格の関係、②金利に関する条件の損得、③信用リスクの3点だろう。これらは、債券投資をしない場合でも、経済常識として知っておきたい。
金利と債券価格の関係は、「世の中の金利が上昇すると、債券価格は下落する」ことと「金利の変動に伴う債券価格の変動は債券の残存期間が長いほど大きい」ことの二つがポイントだ。
たとえば、表面利率(クーポン)2%の債券は、その発行後に世の中の金利が1%になれば得な条件の投資対象になるし、逆に世の中の金利が3%になれば損な条件だと見なされる。前者では債券価格が上がり、後者では債券価格が下がる。そして、固定されたクーポンを払ってもらう投資家にとっての損得の変動は、債券の満期までの期間が長くなるほど大きくなる。