何か事情があってタクシーで訪問する際は、できるだけぎりぎりまで車で目的地に行きたいと思うものですが、それは絶対にやめてください。

「20メートル手前理論

  タクシーを使ってお客様のところに訪問するときは、玄関先の「20メートル手前」で降りるようにするのです(→「20メートル手前理論」)。

  たったこれだけのことで、キーマンに「微差」を感じさせることができます。

  20メートル手前でタクシーを降りたところで、誰にも気がついてもらえないかもしれません。
  でも、それをやり続けていると、誰かが気づいてくれることがあります。

  私も一度、ある会社のキーマンから「後田さんは、ほかの広告代理店の人たちと違って、いつも歩いて我が社にいらしていますね」と声をかけていただいたことがあります。
「どうして知っているのか」と不思議に思っていると、「受付の女性が話してくれた」のだそうです。

「後田さんがタクシーで乗りつけたところを見たことがありません。雨が降った日でも歩いてきます」と。本当は20メートルしか歩いていないのですが、受付からは、「私がタクシーを降りているところ」は見えていません。

  少しあざとい作戦ですが、それでも「わざわざ歩いてきてくれた」ことに誠意を感じていただけたようです。
  タクシーを使って、お客様のところに訪問するときは、タクシーを玄関前に横づけしてはいけません。
  あえて「20メートル手前」で降りるようにしましょう。

  20メートル手前で降りて、身だしなみを整え、自分の足で“わざわざ歩いていく”という演出が「微差」を生むのです。

タクシーは「移動手段」でなく、「初心を振り返る機会」

  タクシーを目的地の20メートル手前で降りると、自分の日常を反省し、もう一度初心に戻ることができます。

  私が新人の頃、得意先でのプレゼンに向かうため、W先輩とタクシーに乗ったことがあります。
  畳一畳ほどのプレゼンテーションパネルを2枚も抱えていたので、私は「玄関前ギリギリまでタクシーを使う」つもりでいました。

  ところが、W先輩は、目的地の少し手前(20メートルほど手前)で運転手さんに声をかけたのです。