人間力のひとつ、「雑談力」とは
私が経営戦略コンサルタントの採用面接のときに見ていたのは「学習能力」と「危機対応力」でした(前講参照)。それらは付け焼き刃では身につかない「人間力」とも言えるでしょう。
ではそんな「力」をどうやって普段、鍛えたらいいのでしょう。これを論じ始めれば、数百冊の本に値するさまざまな内容や手法が出てきますが、今回はそのひとつ、「雑談力」を取り上げます。
私が卒業以来25年間、面接官を務める(*1)MBAスクールINSEAD(インシアッド)の面接評定表には、面白い項目が2つあります。ひとつは「あなた(面接官のこと)は、この応募者(applicant)を自分の同僚として採用しますか?」
もうひとつは「飛行機の出発が遅れて待合室で3時間待ちです。あなたはこの応募者と楽しく過ごせると思いますか?」
前者はなかなかシビアな質問。でも面接官を追い込む非常にいい質問です。個別の項目で「良い」とか「いまいち」とかどう書こうと「で、要は同僚としてどうよ」と、面接官に真剣な判断を迫ります。
そして後者は、自分との相性(翻ってはINSEADとの相性)やその人の人間性の幅を聞いている質問です。それが「雑談力」ともいえるでしょう。
*1 INSEADでは卒業生2名が別々に応募者への面接を行う。