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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

2016年 
グローバリゼーションの崩壊

大西 俊介
【第1回】 2017年7月26日
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成長にひずみはつきもの

 「成長のひずみ」という言葉もよく聞きます。だけどこれは問題事象ではなく、免疫反応の一種として捉えるべきではないかと思います。

 スタートアップ企業ならいざ知らず、すでにある程度歴史のある企業が、変革したり、事業拡大したりしようとすれば、それなりの「ひずみ」が生じるのは「当たり前のこと」です。

 問題は対処の仕方で、「多様性」を否定し「一様性」のマネジメントに戻すのではなく、トップ自らが多様性を受け入れ、トップでなければできない改革に変えていくところがポイントだと思うのです。決して多様性を後退させ、結果的に停滞感につながるような後ろ向きの課題対処であってはなりません。

 日立製作所は2009年3月期に7873億円と、製造業として当時、過去最悪の最終赤字となりましたが、2009年4月に会長兼社長に就任した川村隆氏を中心とする大改革で反転し、以降、素晴らしい規模とスピード感を持って変革を続けていると思います。

 レジリエンス(resilience)という言葉もよく聞きます。「自発的治癒力」、つまりは免疫反応に近い用語ですが、先に書いたように世界経済にはそのような力があると思います。右派の代表格ルペン候補を否定した仏大統領選がそのいい例です。ところが日本企業はどうでしょうか。相対的に見て、日本企業はレジリエンスが弱いように思えます。治癒力はあるのかもしれません。でもそれは更なる投薬強化の方向に向かっているようにも見えます。

 2016年の大きな変化を受けた後の2017年、世界情勢はまた大きく変わり始めています。そして新たなグローバリゼーションの方向性が見えつつあると思います。このままでは一部のすばらしい例外を除き、日本はどんどん取り残されるような気がします。

 では、世界で起きている変化とはどんなことなのか、また、この変化に対し、結局われわれはどのような対応が求められるのか。より具体的なお話にするために、次回以降、私が属する業界及びその周辺から書いていきたいと思います。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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