やるべき仕事はエンドレスにある

――では、反対にこの仕事で苦しかった、つらかったということはどんなことでしょうか。

玉置 私たちの仕事は、どれだけ素晴らしい作品だと感じても、タイミングよく契約先を見つけられない限り日本語版として陽の目を見ないことになります。やりがいはありますが、同時に重責も感じています。

 そして、資料の読み込みやプレゼンの充実など、手をかければかけただけ実りある結果につながることも多いものです。エンドレスにできることがある分、自分で区切りを付けないとやるべきことが際限なく出てきてしまいます。私も何度か追い込みすぎて体調を崩してしまったのですが、良い仕事を継続的にするためにも、健やかに、自分に合った中長期的な仕事のペースづくりが大切になると感じています。

――玉置さんが持ってきてくださる企画がいつも魅力的なのは、その裏に作品を読み込み、その良さを十二分に表現するための惜しみない労力があったんですね。これからは今まで以上に心して拝見します。さて、ここからは今後のお仕事についてうかがいたいと思います。

玉置 我々は、翻訳権を出版社に契約仲介するのが生業ですので、自らが発信するようなことは考えていませんが、ネットなどで常時情報が開示されていく方向性の中で、黒子としての我々の役回りも、今後少しずつ変わってゆくのかもしれません。