本づくりを支えてくださる方々を紹介する『書籍づくりの匠』。今回は、タトル・モリ エィジェンシーの玉置真波さんにご登場いただきます。
翻訳書の版権を私たち編集者にご紹介いただき、海外の権利者との仲立ちをしていただく著作権仲介エージェントの玉置さんは弊社はもちろん、多くの出版社さんとお仕事をされているノンフィクションジャンルのエキスパートです。
前編となる今回は、玉置さんの基本的な仕事の内容と現職に就かれた経緯をうかがいました。
 

「仕入れ」「提案」「サービス」が
エージェントの仕事

――はじめに、御社についてお聞かせください。

玉置 タトル・モリ エィジェンシーは、1948年に創業された業界では老舗の著作権仲介エージェンシーで、現在も中心の業務である海外作品の日本語翻訳権から始まって、「ムーミン」などのキャラクターのライセンス、マンガを含む日本語作品の海外版権の仲介を行っています。私はその中で、海外のノンフィクションジャンルの日本語版権を扱う部署にいます。

――玉置さんのお仕事の内容を具体的に教えていただけますか。

玉置 基本的には、海外で刊行された書籍の著作権契約の仲介を行うというのが主な仕事です。出版社さんに版権をセールスするという意味では、営業職であるとも言えます。具体的な仕事の内容としては、大きく「仕入れ」「提案」「サービス」の3つに分けることができると思います。

「仕入れ」はずばり作品を探すことです。話題作や著名な作家の作品を手がけるのはもちろん、新しいテーマや今後注目されそうな題材の中から希少性の高いものを探しています。「提案」は出版社または個々の編集者さんへの情報提供から契約締結までの交渉です。最後の「サービス」は契約締結後、そして翻訳書の刊行後のトータルな面でのケアです。印税の送金や税金の処理、献本、そしてトラブル処理などがあります。この3つがトライアングルとなっているのが私たちの仕事ですね。