米国でトランプ政権が成立してわずか6ヵ月しか経過していないのに、国際社会における米国のリーダーシップは目に見えて衰えた。そもそもトランプ大統領が掲げる「米国第一」の考え方は自国の短期的利益を優先し、リーダーシップが損なわれても構わないと言っているように聞こえる。だが米国は引き続き圧倒的な国力を持つ国であり、これに代わるリーダーが出現するとも考えられない。時が経てば変化の可能性はあろうが、少なくとも当面は、米国の求心力が衰えていく過程で生じる地政学リスクを明確に認識し、備えを作る必要があるのだろう。
トランプ政権崩壊のリスク
捜査や共和党の動きで弾劾も
今年後半に向けて、国際政治や安全保障でのさまざまなリスクが高まる。
その“震源地”ともいえる米国では、「ロシアンゲート」の動向がどうなるかだ。
この問題でトランプ大統領が抱えるのは、米国民主主義の根幹である「デュー・プロセス」を損なったという疑惑がかけられていることである。透明で公正であるべき大統領選挙で、ロシアと共謀し選挙介入があったのではないか、大統領はFBI長官に対しトランプ陣営にいたフリン前国家安全保障担当補佐官を捜査対象から外すように圧力をかけ、司法妨害を犯したのではないかといった嫌疑がかけられている。