要約本文

◆日本人独自のやり方で勝つ
◇目標は不可能そうなほど大きなものがよい

 大きな成功を望むとき、誰であってもかならずするべきことがある。それは明確な目標を設定することだ。それも、少しがんばったら達成できるような小さな目標ではなく、常識的には不可能と思えるくらい大きな目標を置くべきである。

 また、その目標は数字で具体的に表現でき、結果が出たときに達成できたかどうか、はっきりわかるものであるべきだ。明確な目標は必ず強いイメージをともなう。そのイメージが、我々を成功へ導いてくれるのである。

 著者が2012年にラグビー日本代表監督に就任した際、最初に提示した目標は、「世界のトップ10に入り、3年後のワールドカップでかならず勝つこと」だった。それまでの日本ラグビーの歴史上、日本が勝ったことがあるのは1度きり、それも20年も前のことだった。そのため、選手たちは当初、世界のトップ10に入ることはおろか、自分たちがワールドカップで勝利できるなど夢にも考えなかったという。

 それがどうだろう。日本代表がわずか3年で、無謀とも思える目標を達成したことはみなさんもご承知のとおりだ。

◇短所は長所にもなりえる

 著者が監督に就任する前の日本代表は、強豪国のコピーのような戦い方をしていた。しかし、冷静に考えてそれで勝てるはずがない。強豪国には、体格にすぐれ、体力にも自信がある猛者ばかりが揃っている。それに比べ、日本では小柄な選手が大半を占める。外国の真似をしてガチンコ勝負を挑んでも勝てないのは当たり前である。

 そこで著者は、日本人らしさを活かした、日本独自のラグビーをすると打ち出した。そしてその方針を「ジャパン・ウェイ」と名づけ、チームにジャパン・ウェイを浸透させることに3年間身を砕いた。トレーニングでは、日本人の勤勉さを活かして100%の努力を要求し、プレーでも、日本人選手の身の軽さを活かし、敏捷性に重点を置いた。

 体と体がぶつかり合うラグビーでは、一般的には体が大きい方が有利だとされる。だが、あらゆる物事には長所と短所がある。体が大きいというのは、それだけ動きが鈍くなるということだ。敏捷性を極限まで磨き上げることで、W杯ではあの南アフリカ代表に勝利するまでに至った。このように、どんな短所も長所になりうるのである。

◇向上心のない努力は無意味

 日本人は「がんばる」ことが得意だ。何か言われたことに対して、黙々といそしむ姿勢は世界的に見ても類を見ないほど抜きん出ている。しかし著者によると、2012年当初、日本人選手たちは「ハードワーク」ができていなかったという。

 ハードワーク、つまり物事に懸命に取り組むことは、「がんばる」と同じように聞こえるかもしれない。しかしその意味は少し異なる。成果を出すためには、100%がんばることに加え、「今よりよくなろう」という意識が不可欠だ。それがなければどんながんばりも無駄になってしまう。