上司の姿を目の当たりにすると
「管理職になりたくない」のが本音
「そろそろ管理職に昇格しそうだが、私は管理職になりたくない。だから転職する」
こういう理由で転職を希望する人が、10年程前からの傾向として散見されるようになりました。
大きく分けると二つのパターンがあります。
一つは「お客様と直接やり取りしながら仕事をするのが好き」「第一線の現場から離れると腕が鈍る」「管理職になったらむしろ自分の市場価値が下がる」――等々。こうした本人の志向や思惑は現場主義やプレーヤータイプのパターンであり、コンサルタントなどいわゆる「自分の腕一本」系の仕事で比較的多く見られる人です。
もう一つは上司である管理職の仕事ぶりを見ていると非常に大変で、疲労困憊して家庭崩壊の危機に直面していたり、成果を追いかけるあまり人格的にまったく尊敬できなかったりする姿を目の当たりにし、「自分はこんな人間にはなりたくない」と管理職への昇進を敬遠する人です。
昔、みんなが管理職になりたがっていた理由は、管理職の仕事がラクそうに見えたからです。部下は現場を駆けずり回ってノルマや目標の達成のために数字を追いかけている一方で、管理職の仕事は部下があげた数字の取りまとめが中心で、せいぜい部下と同行営業するくらいで新規開拓はなし。しかも部下を評価し、昇級や異動させる権限を持っていたため、部下からは畏怖される存在でした。