せっかくのネタでも
部下に話したいテーマを尋ねる前に持ち出すのはNG
そして、この行動がもたらす成果は、結果として話題ネタが拾えることだけではありません。
ネタを拾うためには、日常的に個々の部下を観察しなくてはならなくなります。それが上司にとって、部下に関する情報量を豊富にする手段になります。
また同時に、実は見られている部下の方も気がついていて、それが自然な存在承認として伝わっていくという効果もあるのです。
さて、1on1のために拾ってきた2、3のネタに話題を戻すと、これはあくまでも“後出し用”だということも付け加えておきます。
せっかくメモしたからといって、部下に話したいテーマを尋ねる前に持ち出すのはNGです。使わなくて済むに越したことはない救命具のようなものだと認識しておくことは重要です。
いかがでしょうか。これでひとまず、「何も話すことがないです」と言われても大丈夫だというゆとりを持つことができますね。
そして仮に言われてしまったとしても、用意した話題が1つあれば3分はもちます。2つあれば6分はもちます。そして運が良ければ、1つあたり10分以上の話が聞けるかもしれません。少なくとも、せっかく習った傾聴や質問を試す機会はここで得られることになります。
そして、最も肝心なことですが、直近の仕事の中で見つけた場面について語ってもらうわけですから、つまるところ、部下が記憶を辿りながら出来事やその時の感情を振り返ることにつながっていきます。
1on1の目的である経験学習の中で、あなたは上司として、仕事のふり返りと概念化のステップをリードしていることになるのです。
(ヤフー コーポレートグループ ピープルデベロップメント部・吉澤幸太)