一か八かのクラウドファンディングで
1100人から4200万円を調達

 今でこそ広く知られるようになったクラウドファンディングだが、当時はまだ一般に理解されにくく、右田社長も「正直、胡散臭いと思っていた(笑)」。しかし、非効率なサバ寿司の製造販売業を立て直すには、他に選択の余地がなかったという。

サバ料理専門店を倒産危機から救ったクラウドファンディングPhoto by H.H

ここで、クラウドファンディングについて簡単に説明しよう。

 クラウドファンディングとは、インターネットを通じて一般の人から1口数万円の小額投資を募り、事業者を資金面からサポートする仕組みのことだ。

 例えば、鯖やが利用するミュージックセキュリティーズの「セキュリテ」では、地域や分野で好きな事業を選べ、事業進捗情報を閲覧できる。利益が出れば、分配金を受け取れる他、出資者限定商品やイベント参加などの特典が付くため、市場規模は年々拡大中だ。

 SABARファンドの場合、1口3万円で1口当たり3150円の鯖寿司が特典として受け取れる他、例えば毎月の月商が308万7000円だと3万964円の分配金がある。数字だけを見ると大きなリターンではないが、好きな店や会社を応援する楽しみがクラウドファンディングの人気につながっている。

「特に飲食業とは相性がいいのではと思いました。飲食店にとっての肝は常連客を作ることです。出資者が超優良客となり、トロサバの応援団となって口コミで広めてくれれば、裾野が広がっていきます。飲食店の新たな集客モデルにもなると思いました。資金調達だけでなく、ファンを増やすための強みにもなるわけです。出資者にとっても、オーナー気分を味わえるなど、プライスレスの満足を手に入れられるのが大きな魅力でした」

 加えて、出資者の大半がサバ好きで同社の理念に共感した人であることから、マーケットニーズがあるのかどうか、確かめられるという狙いもあった。

 現在13店舗のSABARのうち、クラウドファンディングで開店資金を調達したのは4店舗。1号店の大阪福島店と2号店の大阪天満店、4号店の東京恵比寿店、昨年8月に開店した愛知県のイオンモール長久手店だ。福島店、天満店、恵比寿店を合わせると、1000人から3800万円を調達。イオンモール長久手店では、過去最速の65時間で524万円が集まった。