シンガポール国立大学(NUS)リー・クアンユー公共政策大学院の「アジア地政学プログラム」は、日本や東南アジアで活躍するビジネスリーダーや官僚などが多数参加する超人気講座。同講座を主宰する田村耕太郎氏の最新刊、『君はなぜ学ばないのか?』(ダイヤモンド社)は、その人気講座のエッセンスと精神を凝縮した一冊。私たちは今、世界が大きく変わろうとする歴史的な大転換点に直面しています。激変の時代を生き抜くために不可欠な「学び」とは何か? 本連載では、この激変の時代を楽しく幸せにたくましく生き抜くためのマインドセットと、具体的な学びの内容について、同書から抜粋・編集してお届けします。
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メニューを絞り込んだ飲食店の強み
ビジネスとして成功したいなら、間違っても「グランメゾン東京」などを、目指してはいけない。
2005年から2014年にかけてミシュランの星を獲得した店の40%が、2019年末までに閉店していた。これは通常の飲食店より高く、しかもコロナパンデミックが始まる前のデータである。
ミシュランの星を取ると、顧客数が40%増えるともいわれるが、同時に、その星の維持のために高コスト構造になり、徐々に経営が傾いていくのだ。
ビジネスとして飲食業を目指すなら、ミシュランの星を目指すのは、やめたほうがいい。ビジネスとして飲食業を目指すなら、看板メニュー一本勝負! これを目指してほしい。
看板メニューを徹底追求することで、ブレないコンセプトとブランドイメージを確立し、効率的な店舗運営と食材管理でハイマージンを実現するのだ。
私がイチ推しのおススメ店一覧
実は、顧客は選択肢が多いと面倒くさいのである。「看板メニュー」に絞ったお店には、信頼が置きやすい。ブレずにうまいものにこだわって、資源を集中してくれていて、我々顧客を迷わせず、ラクにしてくれるからだ。
昔の「吉野家」の牛丼一本の潔さが好きだった。今は、メニューを見てチカチカしてしまう。以下に、私が実際訪問して好きな、看板メニューに絞り込んだおススメの飲食店を紹介する。あくまで、私の個人的ランキングである。
1.Raising Cane’s Chicken Fingers(チキンフィンガー/アメリカ)
特徴:「チキンフィンガー(鶏のフライ)」に特化
概要:メニューは基本的にチキンフィンガー、フレンチフライ、コールスロー、トースト、そして独自ソースのみ。部位や衣に工夫を凝らし、“最高のチキンフィンガー”を提供することに集中。
私のナンバーワンは、最近サンディエゴやLAでドはまりしている「ササミフライ一本勝負」のRaising Cane’s Chicken Fingersだ。ササミフライだからこその原価率の低さを感じてほしい。店内はオシャレな内装で居心地がいい。そしてササミフライをジューシーに調理する技術とこだわりだ。お店に入ると、ササミフライの本数しか選べない。時価総額は一兆円を超え、拡大中。ドバイなどにも進出を始めた。ドジャースで人気のムーキー・ベッツ選手が昨年、一日店長をつとめて話題になった。
2.In-N-Out Burger(ハンバーガー/アメリカ)
特徴:ハンバーガー、チーズバーガー、ダブルー ダブル(パティ2枚)などごく少数
概要:フライドポテトとシェイクを含む、非常にシンプルなメニュー構成。いわゆる「シークレットメニュー」も存在するが、あくまでベースはハンバーガー数種類のみ。
第2位は、In-N-Out Burgerで言わずと知れた大谷選手の大好物のお店だ。シェイクとポテトとバーガーのセットでほぼマクドナルドと価格が一緒。
しかし、店舗の近くのローカルな農家から毎日直接材料を仕入れ、毎日仕入れたものが売り切れたら終わり。そう、材料を店舗で冷蔵保存しないのだ。
3.アンティーカ・ピッツェリア・ダ・ミケーレ(ピザ専門/イタリア)
特徴:ほぼ「マリナーラ」と「マルゲリータ」の2種類のみ
概要:イタリア・ナポリの老舗ピザ店で、メニューはごく少数。生地とトマトソース、チーズに徹底的にこだわり、同じクオリティを長年保ち続けている。
第3位は、アンティーカ・ピッツェリア・ダ・ミケーレ。ナポリのピザ屋さんだ。今は恵比寿と横浜と福岡にも出店している。東京にもNYにも素晴らしいピザはあるが、なぜマルゲリータはナポリで食べるものを超えられないのか? これもナラティブの問題だと思う。マルゲリータはナポリが発祥の地。ナポリそのもののピザを、本場のナポリで、ナポリの空気の中で食べるに勝るものはないだろう。
(本稿は『君はなぜ学ばないのか?』の一部を抜粋・編集したものです)
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院 兼任教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー、一橋ビジネススクール 客員教授(2022~2026年)。元参議院議員。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。山一證券にてM&A仲介業務に従事。米国留学を経て大阪日日新聞社社長。2002年に初当選し、2010年まで参議院議員。第一次安倍内閣で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)を務めた。
2010年イェール大学フェロー、2011年ハーバード大学リサーチアソシエイト、世界で最も多くのノーベル賞受賞者(29名)を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で当時唯一の日本人研究員となる。2012年、日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。ミルケン・インスティテュート 前アジアフェロー。
2014年より、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授としてビジネスパーソン向け「アジア地政学プログラム」を運営し、25期にわたり600名を超えるビジネスリーダーたちが修了。2022年よりカリフォルニア大学サンディエゴ校においても「アメリカ地政学プログラム」を主宰。
CNBCコメンテーター、世界最大のインド系インターナショナルスクールGIISのアドバイザリー・ボードメンバー。米国、シンガポール、イスラエル、アフリカのベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーを務める。OpenAI、Scale AI、SpaceX、Neuralink等、70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』など著書多数。



