ところが、こうした世界の趨勢の中、驚くことに事故の当事国である日本だけが、異例の対応をみせている。

 菅首相自らが求めていたストレステストや他国のような国民投票もなく、いきなり営業運転の再開を決めたのである。しかも、地方自治体の意思による決定である。

 福島第一原発の事故はいまだ収束していない。日々、放射能汚染水を海洋に流出させ、夜な夜なベントらしき水蒸気を発生させているのが事実だ。にもかかわらず、日本は原発再開へ、どの国よりも早く踏み出してしまった。いったい政府は何を考えているのだろうか。

国や国民の関与がないまま
再開決定を下した高橋知事

 高橋はるみ知事は経産省出身の元役人である。地方にありがちな中央とのパイプを旗印に2003年、北海道初の女性知事として自民党推薦で初当選を果たした。

 もちろん、経産省だからといって全員が原発推進派というわけではない。だが、かつて知事の献金先リストに「北海道電力」の文字が記されていたこと、さらには最多献金先が建設業界という事実は、彼女の政策を規定するのに十分な根拠となった可能性が高い。

 いずれにしろ、高橋知事は原発再開へ舵を切った日本で最初の「政治家」となったのである。

 きょう、筆者がMCを担当する東京FMの番組「タイムライン」に北海道大学大学院の吉田文和教授が電話で出演した。

 吉田氏は、営業再開の決定直前の15日、道内の学識経験者による泊原発再稼動の反対署名を集め、そのアピールを行なった代表者でもある。その吉田氏はこう話した。

「明確な安全基準と原発再開の規制を国が決めないまま高橋知事は判断を下してしまいました。近くにあるとされる活断層に対する第三者機関の判断も、60キロメートルしか離れていない札幌市を含めた周辺自治体の参加もないまま、泊村周辺の4自治体のみの賛成で決定されてしまったのです。それは大きな問題です。とくに来年以降のプルサーマルの開始は、充分な話し合いと安全対策がなければ容認できないのです」