小室 いまだに「短時間で働いても良いという制度を使わせてあげる代わりに、評価や昇進には差がつくからね」というトレードオフ感覚で取り組んでいる企業はいっぱいあります。時間に制約のない人が「本来の社員」であり、時間や働く場所に制約がある人は「存在は許してあげるけど2流社員」の扱いなのです。私は、この偏見と決別できるかが、日本企業で本当の働き方改革が進むかどうかの最大のポイントだと思っています。

 短時間でも扱いが変わらないなんて、長時間頑張って働いている社員に不公平じゃないか、という議論もよく起きるのですが、そんな方にぜひ知ってほしいことが、介護で時短勤務になった男性が仕事になげやりになるという現象です。

 自分ではどうにもならない「介護」という理由で時間の制約を持った男性にとって、「時間制約を持つのは2流社員」という位置づけがどれほど苦しいものか。「もうキャリアは終わった」と思うからこそ、「俺はもうキャリアの芽がないんだから、そういう難易度の高い仕事は別の人にやってもらって」という投げやり発言をしてしまうのだそうです。

 同僚から「短時間で働きたい人はライフを重視する人であり、ワークを重視していない人だ」という偏見を受けて苦しみ、初めて育児女性の気持ちがわかったという男性も多いです。そういった「マミートラック(ママ専用レーンのように、本流とは別に設定されてしまう横ばいのキャリアのこと)」「介護トラック」を増やしてしまう制度作りから脱するところに行き着いたら、その働き方改革は本物だと言えますね。

ついに「週2日勤務」も出始めた
“売り”は働き方の多様な選択肢

小室 サイボウズの働き方改革の一番の特徴は何ですか?

青野 選択肢の多様さです。サイボウズでは労働時間は徹底的に短くてもOKで、週3勤務の人もいるし、ついに週2日勤務みたいな人も出始めた。基本、会社に来ない人もたくさんいますし。その選択肢の広さを売りにしていこうかなと思っています。

小室 ちなみに週2勤務の人がやっている仕事はなんですか?

青野 企業などに向けたチームワーク研修です。自らNPOを立ち上げて、自分も本を書いているような知識も経験もある人です。

小室 そういう、個人事業主としてやっていけるような人にも、「サイボウズに所属したい」と思わせていることが凄いですね。