尻すぼみになることも少なくない企業のCSR活動だが、Dell Technlogies(デル・テクノロジーズ、以下Dell)は8年前から、毎年初夏に女性起業家を支援するイベント、「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」を開催し、彼女たちの課題解決を共に探ってきた。イベントを立ち上げ、数百人の女性起業家たちを見守ってきたのがDell唯一の女性Cレベル幹部、Karen Quintos氏(最高顧客責任者)だ。Quintos氏に、女性起業家を支援する理由、シリコンバレーのベンチャーキャピタルによる女性起業家へのセクハラ問題などについて話を聞いた。
シリコンバレーの女性起業家は
セクハラのリスクと戦っている
――女性起業家の支援を開始して8年になります。女性起業家を取り巻く環境はどう変わりましたか?
Quintos氏 女性起業家に関する話題が増え、フォーカスは大きく改善しています。7、8年前は女性起業家の課題や潜在性は話題になっていませんでしたが、Dellがこの問題に大きなスポットを当てて認知を広めることができました。これは、個人的にも誇りに思っています。
性別に関係なく起業家は雇用創出に大きく貢献しており、社会、経済にとって重要な存在です。中でも女性の起業は、男性を上回るペースで増えています。ですがイベントに合わせて発表した女性起業家の環境調査では、トップのニューヨークですら100点満点中63点。まだまだ改善の余地があります。
――女性起業家が抱える課題とは?
Quintos氏 課題はDWENのスタート当初から変わっていません。資本へのアクセスです。VCのベンチャー投資のうち、わずか3%しか女性が経営するベンチャーに注がれていないのです。
一方で、変化も見られます。女性投資家が起業家に投資するという動きが顕著になってきました。例えばTrue Wealth Venturesは女性パートナーが起業し、コンシューマーヘルスケア分野の女性起業家にフォーカスしています。アジアと米国の女性起業家に投資するSoGal Venturesはミレニアルの女性にフォーカスするという新しいVCですが、やはり女性がVCです。世界的に見られる動きで、女性起業家最大の課題である資本へのアクセスを解決する素晴らしい動きと言えます。
3年前、オースティンでイベントをした時、13歳(当時)のデザイナーを招待しました。すでに大手デパートのNordstromでも販売されており、成功していましたが、「最大の課題は資本」と言っていました。それまで両親の資金でしたが、次のレベルに進むには大規模な資金が必要だったのです。そこで参加していた女性パートナーがイベント後に彼女を呼び、自分のVCでピッチさせるチャンスを作りました。無事に投資を得られたと聞いています。
資本へのアクセスの他には、メンターやロールモデルが欲しい、専門知識へのアクセスが欲しいといった声を聞いています。