社員の異変に気づけるのは
専門職ではなく総務人事

 私は、産業医や心理士などの専門職にしかできないこともある一方で、総務人事だからこそできることがあると感じています。

 例えば、研修と併せて食事カウンセリングをした際に、人事総務の人から「○○さん、大丈夫ですかね?」と聞かれたことがありました。食事カウンセリング中に、確かに少し気になるようなことはあっても、それがパーソナリティなのかどうかは判断しにくく、そうした異変に気がつけるのは、やはり職場の人だと思ったのです。

 特に、体の不調と違い、メンタルヘルスの不調は本人も気がつかない場合が多いので、近くで見ている周りの人の目も大事です。

 一方で、最近、「そんなことまで総務人事が話を聞いて対応するのか…大変だな…」と思うこともあります。メンタルヘルス不調の社員に対応している人が過剰労働になっていたりするのです。

 対応中は、言葉尻ひとつ気にしてメールを返信・対応するなどと心的負担も大きく、昼も夜も会社ではまともなものを食べられず、帰ってビール片手につまみを食べて終わり、だなんてこともあるようです。課題を抱える社員に対して、対応する社員のバランスが悪くなるとそこでも不調を生み出します。

 不調が色濃くなってからでは研修への参加も、ましてや行動変容をするのも億劫になってしまいます。不調の連鎖を生まないためにも、早期から全社員に向けたセルフケアの手段を人事総務が提示することは大事なのではないでしょうか。

 最近では社員のメンタルや健康増進をサポートする従業員支援プログラム(EAP)を活用する企業も増えていることと思います。

 栄養士はメンタルヘルスの悩みをダイレクトに解決する存在ではありませんが、食事の摂り方、また、定期的に様子を見ている場合にはその変化から、会社での働き方、生活に関してもお話を聞くことが多く、そこで「少し吐き出せて楽になった」というお声を聞くことも少なくありません。また、食生活の改善に取り組むことで「ダイエットのつもりが、結果的に体だけではなく心が楽になった」「疲れにくくなった」「以前だったらイライラしていたことが流せるようになった」という感想もいただきます。

 ぜひ、栄養士も社員のメンタルヘルスケアのための一コマに加えていただけき、EAPを活用するように、外部の栄養士を活用していただけたら嬉しいな、と思います。

(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)