5つのキーワード
「文化」「想像力」「記憶」「旅」「個性」
モレスキンには「文化」「想像力」「記憶」「旅」「個性」という5つのキーワードがあると、モレスキン社はいいます。単なるノートになぜこんなキーワードがあるのでしょう?
例えば、紀行作家のブルース・チャトウィンは、パリの文具店で100冊のまとめ買いをしたモレスキンノートに旅の思い出を書き綴っています。「パスポートをなくすことなど心配のうちに入らない。しかしノートを失うようなことがあれば、それは大惨事だ」と彼は書き残しています。
こうしてモレスキンノートは「旅」をテーマとして利用されることが多くなり、旅ノートの1つの定番にさえなったのです。5つのキーワードは、なんでも受け止めることができるモレスキンノートの得意分野といってもいいでしょう。
それぞれの人生の「入れ方」
いくつかの事例をご紹介しましょう。まず外国語大学で学びつつ、7つのサークルなどの活動を多忙にこなす西條雄大さんは、アイデアを1つのモレスキンに、意見や主張を1つのモレスキンにといったように、7つのノートを同時に使いこなしています。
それぞれのノートは使う文具や、色合いも変えてあります。それは冷静にアイデアを書いていた自分と、強い意見や主張を感じてそれを書きなぐっている自分とは違う状態にあるからです。西條さんのモレスキンは7つ集まってはじめて彼自身のすべてを見渡すことができる、自分自身の「カケラ」なのです。
書かれていくものは、事実や思いついたアイディアだけとは限りません。銀行勤務のsasazamiさん(@sazanami_jp)は、非常にゆっくりとしたペースでも、自分が感動したり、影響を受けたりした言葉をモレスキンノートの中に書き留めることをしています。その言葉は本の一節であったり、映画の台詞であったりしますが、sazanamiさんはそれをそのまま引用してノートの上に降り積もらせます。
感想を書くのではなく、抜き書きをするのには独特な意味があります。それは自分が感じた感動の痕跡を、手先を通してノートの上に残しているからに他なりません。自分をつくり変えた言葉を通して、自分の人生をノートの中に入れているというわけです。
システム手帳やスケジュール帳といった明確に決められたルールがないために、モレスキンノートに書き込む人々はこのように思い思いの「人生の入れ方」を実践します。まるでノート自体が1つのキャンバスになってしまったかのようです。
こうして人生をノートに入れることにはもう1つのメリットがあります。あなただけの思いや視点が降り積もることで、ノートの中にはあなた自身の個性がこしとられて蓄積していきます。
スケジュールやタスクを書き込んでいるだけでは得られない、かけがえのないあなた自身のアイデンティティが、モレスキンノートの上で明らかになっていくのです。これがビジネスマンこそ、モレスキンを持つべきだと私が考える一つの理由です。
モレスキンに人生を入れる方法はまだまだたくさんあります。それはモレスキンを利用する人の数だけあるといってもいいでしょう。次回以降では、モレスキンの5つのキーワードに寄り添って、本書に収めきれなかった利用方法についてご紹介したいと思います。
1973年アメリカ、イリノイ州生まれ。ライフハックや仕事術をテーマとしたブログ、「Lifehacking.jp」管理人。「ライフハックとは人生を変える小さな習慣」をモットーに、クラウド時代のライフスタイルとワークスタイルの話題から、iPhone・iPad・モレスキンなどのガジェットや文具の活用法などを紹介している。理学博士。著書に『できるポケット+Evernote 活用編』(共著:インプレスジャパン)、『iPhone 情報整理術』(共著:技術評論社)など多数。
Lifehacking.jp http://lifehacking.jp/
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第2回:「モレスキンと日常~「伝説のノート」にあなたの記録を始める」(9/9)
第3回:「モレスキンと旅~モレスキンノートは旅人によく似合う」(9/14)
第4回:「モレスキンと個性~パーソナリティであるノートブック」(9/15)
第5回:「モレスキンとアート~日常の中でのクリエイティブ・アクション」(9/21)
第6回:「人生を最高に旅するためのノート、モレスキン」(9/22)
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