二つ目は、「保有効果」という心理現象である。これは、自分の持っているものは価値が高いと評価し、手放したくないという心理が働くことを指す。例えば貯蓄の場合、貯まらない最初のうちは、とかく使ってしまいがちになる、だが、いったん貯まり始めると、今度は使わなくなるという心理傾向は間違いなく存在する。

 ポイントの場合も同様で、貯め始めた当初は使ってしまうが、貯まってくるにしたがってもっとたくさん貯めたいという心理が働く。現金でもらった場合には、知らないうちに使ってしまいかねないが、ポイントであれば残高を確認することができ、着実に増えていることが実感できる。つまり、貯めることに対する楽しみが、余計に増えると同時に満足感も持続するわけだ。

 実際、家電量販店の支払いカウンターで順番を待っていると、目の前で店員と顧客がこんな会話をしていた。

店員:「ポイントはお使いになりますか?」
顧客:「えーっと、いや、そのままにしておいてください」

 このように、ポイントを貯めておく人が圧倒的に多いような気がするが、これがまさに保有効果なのである。

 そして三つ目は、「メンタルアカウンティング」と言われるものだ。ポイントというのは、買い物をしたことによって発生するわけであるから、本来はそれだけの金を使っているのだが、付与されたポイントは心の中で別の“勘定”に入ってしまう。これをメンタルアカウンティング、または「心の会計」と言う。

 買い物を続けていると、ポイントはいつの間にか増えていく。そして、いよいよそれを使う段階になると、まるでどこからか降って湧いたように錯覚してしまい、得をした気分になるのだ。

 百貨店の「友の会」や、旅行会社の旅行積み立てなどもよく似ている。いずれも自分が積み立てた金なのに、いざ使う段になると、どこからかもらったプレゼントのように感じてしまうから面白い。