今年の敬老の日は9月19日。来週に迫った敬老の日を前に、手紙やプレゼントの準備を進めている人も多いのではないだろうか。
高齢者から教わった、ためになった話などを聞く「敬老の日アンケート」を実施したのは、書籍のリユースショップ「エンターキング」を運営するサンセットコーポレーション(千葉県)。「エンターキング」の客層は20~30代が多いが、現在、60歳以上を対象に毎月無料で好きな本1冊をプレゼントする「シルバーパスポート」を発行し、「祖父母とのコミュニケーションツールに」と呼びかけている。高齢化が進む中、どのようなコミュニケーションが望まれているのか。
アンケートは同店のモバイル会員を対象に、1840人に聞いた。内訳は、男性1613人、女性227人。10代663人、20代745人、30代326人、40代以上106人。
高齢者から聞きたい話
1番多かったのは「生活の知恵」
「高齢者から教わった『ためになった話』や『知恵』などはありますか?」という問いには、「はい」が58.8%、「いいえ」が41.2%。「はい」が上回ったものの、4割強が「いいえ」というのは少しさみしい結果だ。だがこれは、「高齢者から聞いた話がためにならなかった」というよりも、核家族化などが進んだことにより、そもそも「高齢者と触れ合う機会が少なかった」という人も多いのかもしれない。
現に、「高齢者に聞いてみたいこと」を複数回答で聞いた部分では、「聞いてみたいこと」を複数挙げる人が目立った。1位から順に、「生活の知恵」(519票)、「出来事(事件・社会)」(433票)、「仕事」(409票)、「戦争体験」(355票)などが挙げられている。
実際に役立った「生活の知恵」の具体例としては、「暑さ対策や料理のことなど」(10代女性)、「蚊帳の使い方」(30代男性)、「夏バテや熱っぽいときに足の裏にキュウリを張ると熱が取れる」(30代女性)、「茶殻や新聞紙をぬらしたものなどを畳にばらまいてホウキで掃くとゴミが集まりやすいと聞いた。節電にもエコにも良いので、実践しています」(40代女性)など。
昨年に続く猛暑や、震災以降の節電ムードを反映した回答が目立った。「困ったときの神頼み」ならぬ、「困ったときのおばあちゃん頼み」と言ったところだろうか。エコの観点からも、「昔からの生活の知恵」を知っておきたいと感じている若者は多いと言えそうだ。
9月11日は東日本大震災から半年にあたり、改めて津波対策などを考える報道が多かった。その中で、1933年の昭和三陸地震などによる津波を経験した高齢者が「あのときの経験があったから避難できた」「あの経験ももっと若い人に伝えておくべきだった」などと話していたのが印象深い。震災や戦争を経験した人にしか語れない真実を、私たちはしっかりと聞いておくべきなのだろう。
高齢者に話して喜ばれたこと
1位は「デジタル家電」
また、「高齢者に話して喜ばれたこと」を聞く質問では、「遊び」(約18%)や「出来事(事件・社会)」(約14%)を「デジタル家電」(約24%)が大きく上回った。デジタル家電やネットを使ったショッピングなど、高齢者が使い方を知れば便利な商品やサービスは多い。「高齢者が使いこなすのは難しいのでは」と壁を作らず、安全で有意義な使い方を、世代を超えて共有していきたいものだ。
(プレスラボ 小川たまか)