「巨大な腕」を製品化
建設現場の要望を実現

 2016年にはNIOの腕を応用して、最大250キログラムの重量物を持ち運べる“巨大な腕”を開発した。建設現場で使う「配筋アシストロボット」で、数百万~数千万円の価格で受注を開始している。

「配筋」とは、鉄筋コンクリート工事で設計図通りに鉄筋を配置する作業。15年春、同社本社を訪問した清水建設の土木技術の担当者がNIOの腕の技術に目を留めて「この腕、配筋で使えそう」とつぶやいたのが製品化のきっかけだった。そしてスタートしたのが「クレーンの入れない建設現場で配筋作業を行うロボット」の開発だ。

 ここから、清水建設の現場の意見を徹底的に取り入れるプロセスで開発は進んでいく。

「二足歩行は必要ないので台車を付けて移動させるのはどうか」

「いや、車輪を付けると現場ではかえって不便。組み立て方式にしてバラバラに移動させた方が使い勝手が良い」

 こうした顧客との対話で作り上げたのが「巨大な腕」で、作業現場の鉄骨に固定して、グリップ操作で直感的に重量物を運ぶことができる配筋アシストロボットが製品として完成したのだった。

 藤本の目指す製品は、装着すれば人間の直感で思いのままに腕や脚を操作できる「あうんの呼吸で動くロボット」。それを実現するのは、最先端のロボットテクノロジーではなく、顧客の使い勝手に合わせて改良に改良を重ねる“擦り合わせ”技術だ。「誰もが持つローテク技術で誰にもまねできない操作性を実現するのが差別化のポイント」と藤本は言う。

 今後もNIOをベースに顧客と対話して、建設や災害救助といった重作業現場で使える装着型ロボットの製品開発を加速させる考え。すでに二足歩行できる脚部分を活用して、重量物を運べる新たな装着型ロボットも実用化に向けて開発中だ。