報道各社は、毎月定期的に、あるいは政治的な事件が発生するたびに世論調査を行い、その都度、最新の内閣支持率として報道する。その際、「政権に対する国民の声は極めて厳しい」、あるいは、「過去の最悪時と比べて安定している」などといった各社の評価を裏打ちするようなグラフが作られて紙面に掲載される。だが、これまでの経緯を読者が自分で判断できるような、時系列データが提供されることは稀である(NHKだけは、NHK放送文化研究所のサイトで毎月の結果が長期的に掲載されている)。

 調査は各社ともかなりきちんと行っているものの、数字の評価については独自色を出している。これでは、報道機関の解釈に惑わされかねない。そこで今回は、実情を正確に把握する視点を培うために、内閣支持率のデータの見方を私なりに整理した。

読売が朝日を1割上回るのは
調査時に「重ね聞き」するため

 まず、実例として、第2次以降の安倍政権の内閣支持率の推移を、政権寄りと思われている陣営の代表として「読売新聞」の、反政権の志向が強いと思われている陣営の代表として「朝日新聞」の、そしてその中間的な陣営の代表として「NHK」の世論調査の結果を図1に掲げた。

 データは、各社の発表データを整理・掲載するという地道な作業を行っているReal Politics Japan サイト(http://www.realpolitics.jp/research/)から取得した。

 各社の調査時点は微妙に異なるので、例えば、閣僚の不祥事が発生した直後の調査か、一定期間経ってからの調査かで、支持率の水準に上下が生じている。

 この点を考慮しても、内閣支持率は、読売が朝日を常に上回っており、その差は期間平均で10%ポイント、1割である。このように内閣支持率の水準こそ報道機関によってかなりの差があるものの、内閣支持率の「変化の方向」については、ほとんど違いがない。

 両者の差は、毎回、ほぼ安定的に推移しているが、支持率が低下したときには両者の値が近づくという傾向が認められる。すなわち、政権寄りの報道機関の方が、政権批判が高まった時には、内閣支持率の低下率が大きく出るのである。最近の支持率の低下が典型例である。理由は後ほど述べよう。

 なお、NHKはほぼ例外なく、読売と朝日のちょうど中間的な位置を占め続けている。

©本川 裕 ダイヤモンド社 禁無断転載 拡大画像表示