仕事が遅い人は、相手に「評価されたい」気持ちが強すぎる

 いっぽうマルチタスクの誘惑に負けてしまうのは、たいてい、他者の期待や要求に応じねばならないという義務感に駆られているときだ。

 すると本来、自分が優先したいと思っていたことを後回しにしてしまう。そんなとき、あなたのなかにはたいてい「相手に高く評価されたい」という欲望があり、それが不安感を引き起こしている。

 外部からの刺激に抵抗するのがむずかしいことは、本書も含め、さまざまなメディアでとりあげられている。なにしろ、多様なデバイスが「シングルタスクの原則」を破らせようと私たちを誘惑しているのだから。

 本書では、こうした「邪魔物」の管理法を紹介していくが、いずれにしろ、メディア、スマートフォン、タブレットへの反応を、自分で意識してコントロールしなければならない。

 外部からの刺激を処理する責任は、あなたにある。

 ところが大半の人はそれを環境のせいにして、自分自身を見つめようとしない。自分の内面を厳しく見つめるより、外部からの刺激に身をまかせてしまうほうがラクに決まっているからだ。

 人気コメディアンのルイ・C・Kはそうした事態について、「人間は1秒たりとも孤独になりたくないからと、命を落としたり人生を破滅させたりするほどの危険を冒している。それほど、孤独と向きあうのはつらいものだ」と述べている。

 あなたは現実の人生の難題に、真正面から取り組んでいるだろうか? それとも、そうした難題を見て見ぬふりをして生きているだろうか?

 あなたは人間として成長するための時間を、週に何時間、設けているだろう? その反対に、オンラインで漫然とすごしているのは週に何時間だろう? 

 自分のデバイスをコントロールする以前に、あなたは自分の意志をコントロールしなければならない。

 正しい道を進むのは簡単なことではない。まず、ささやかな努力から始めていこう。